Author Archive

遺産トラブル

2016-05-20

新聞報道によりますと,盛岡で起こった放火殺人事件は母親の遺産を巡る (さらに…)

破産とは

2016-05-18

破産とは,裁判所へ申立てを行って,借金の支払いを免除してもらう手続 (さらに…)

弁護士による差

2016-05-10

弁護士を探す際,広告や事務所の規模の大きさで判断される方がいらっしゃるかもしれませんが,弁護士の知識の差は広告や規模の大きさでは測れません (さらに…)

交通事故と慢性痛

2016-04-21

先日の報道によりますと,「外傷などが治った後もわずかな刺激で痛みを感じる「慢性痛」は (さらに…)

死亡交通事故と年金の逸失利益

2016-04-12

交通事故死亡した場合,事故がなければ得ていたはずの収入を損害賠償として請求 (さらに…)

親権についての異例の判決

2016-03-31

千葉家裁松戸支部で親権についての異例の判決が出ました。離婚後の子どもとの面会交流の頻度を重視して父親に親権を認めた (さらに…)

預金に対する遺産分割について

2016-03-24

預金も遺産分割の対象に。最高裁の判断とは?

相続が発生した際、被相続人の預貯金は、他の財産と同様に遺産分割の対象となります。かつては「預金は相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割される」という考え方が判例でしたが、平成28年12月19日の最高裁判所大法廷決定により、この判断は変更されました。

この判例変更は、不動産など分割が難しい財産を受け継いだ相続人と、預貯金のみを相続する相続人との間で生じうる不公平をなくし、「相続人間の実質的な公平」を図ることを目的としています。この決定により、預貯金も他の遺産と一体のものとして、相続人全員の協議によって分割方法を決めるべき対象であることが明確に位置づけられたのです。

遺産分割前に預金を引き出す「払戻し制度」とは

最高裁の判断変更により、原則として相続人全員の同意がなければ預金の払戻しはできなくなりました。しかし、それでは葬儀費用や当面の生活費に困る相続人が出てくる可能性があります。このような事態に対応するため、2019年7月1日に施行された改正民法(第909条の2)で、「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」が創設されました。

この制度は、遺産分割協議が完了する前であっても、各相続人が単独で一定額までの預貯金を引き出すことを認めるものです。これにより、相続人の当面の資金需要に応えることが可能となりました。

遺産分割前の預貯金払戻し制度の仕組みを図解。払戻し額の計算式と、金融機関ごとの上限150万円のルールが示されている。

いくらまで引き出せる?上限額の計算方法

払戻しが可能な金額は、以下の計算式で算出されます。

払戻し可能額 = 相続開始時の預金額 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

ただし、この計算式で算出された金額がそのまま引き出せるわけではありません。同一の金融機関(支店が異なっていても同一とみなされます)からの払戻しには、150万円という上限が定められています。

例えば、被相続人がA銀行に900万円の預金を残し、相続人が子2人(法定相続分は各1/2)だった場合、1人あたりの払戻し可能額は「900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円」となります。このケースでは、上限額もちょうど150万円であるため、各相続人はA銀行から最大150万円まで引き出すことが可能です。

手続きに必要な書類と注意点

制度を利用する際には、金融機関の窓口で以下の書類の提出を求められるのが一般的です。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(または除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 払戻しを請求する相続人の印鑑証明書
  • 被相続人の預金通帳・証書
  • 金融機関所定の払戻請求書

ここで極めて重要な注意点があります。この制度で引き出した金銭は、「遺産の一部を先に受け取ったもの(遺産の前渡し)」として扱われます。したがって、後の遺産分割協議や審判では、払戻しを受けた分を差し引いた上で、最終的な取得分が計算されることになります。この点を理解しておかないと、将来的な相続トラブルの原因となりかねません。この制度を利用せずに、他の相続人が預金を処分してしまった場合の対応も確認しておくとよいでしょう。

話合いで解決しない場合は遺産分割調停・審判へ

払戻し制度はあくまで一時的な資金需要に応えるためのものです。相続人全員での遺産分割協議がまとまらない場合、最終的には家庭裁判所に「遺産分割調停・審判」を申し立てることになります。

かつては遺産分割審判の対象外とされていた預貯金も、判例変更によって審判の対象となりました。これにより、不動産などの他の遺産と合わせて、裁判所が総合的に分割方法を判断することが可能になっています。もし協議が難航し、法的な手続きが必要になった場合は、速やかに専門家へご相談ください。

参照: 最高裁判所 平成28年12月19日大法廷決定

遺言信託について

2016-03-23

信託銀行でも遺言執行を断る?知っておきたい辞退・辞任のリスク

大切な財産を円滑に引き継ぐため、遺言書の作成を検討されている方も多いのではないでしょうか。その際、信頼できる遺言執行者として、大手信託銀行の「遺言信託」サービスを思い浮かべるかもしれません。「信託銀行に任せておけば万全だ」という安心感は、確かに大きな魅力でしょう。

しかし、相続開始時に信託銀行が遺言執行者への就任を辞退するケースがあります。遺言の作成から執行までを信託銀行に依頼していても、いざ相続が開始した際に、信託銀行が遺言執行者への就任を辞退したり、一度引き受けた後に辞任したりすることがあるのです。これは、遺言者の方の想いを実現する上で、非常に大きなリスクとなり得ます。場合によっては、家族信託といった他の選択肢を検討する必要も出てくるかもしれません。

信託銀行が遺言執行を辞退・辞任する主な理由

最大の要因は「相続人間の紛争」

信託銀行が遺言執行から手を引く最も大きな理由は、相続人間での「紛争」の発生、あるいはその可能性が高いと判断した場合です。

遺言は、相続トラブルを防ぐために作成するものですが、残念ながらすべての紛争を未然に防げるわけではありません。例えば、遺言の内容に納得できない相続人が「遺言は無効だ」と主張したり、遺留分を侵害されているとして金銭の支払いを求めたりするケースは少なくありません。こうした具体的な争いに発展してしまうと、信託銀行は遺言執行業務を続けることが難しくなってしまうのです。

遺言書を法的に有効なものとして作成することは大前提ですが、それでも相続人間の感情的な対立が紛争につながることは十分に考えられます。より詳しい遺言の有効性については、「遺言の日付に関する判例」もご参照ください。

信託銀行と弁護士の遺言執行における役割の違いを示した図解。相続で紛争が発生した場合、信託銀行は辞退するが、弁護士は交渉や法的手続きで解決できることを示している。

法的な制約:紛争解決は弁護士の独占業務

なぜ信託銀行は、紛争が発生すると業務を続けられないのでしょうか。それは「無責任だから」というわけではなく、法律による明確な制約があるからです。

弁護士法第72条では、弁護士以外の者が報酬を得る目的で、法律事件に関して代理や仲裁といった「法律事務」を行うことを禁止しています。これは「非弁活動の禁止」と呼ばれるルールです。相続人間の紛争解決は、まさにこの法律事務にあたります。

信託銀行は金融の専門家ではありますが、法律の専門家ではありません。そのため、法律で禁止されている紛争解決業務を行うことができないのです。これは、弁護士と司法書士、行政書士との違いと同様に、専門家ごとに法律で定められた業務範囲が存在するためです。

参照:弁護士法

もし辞退されたら?その後の手続きと弁護士への依頼という選択肢

相続の全体像については、相続(遺産分割、相続放棄)で体系的に解説していますので、併せてご覧ください。

遺言執行者が不在になった場合の手続き

信託銀行に辞退・辞任されてしまい、遺言執行者がいなくなってしまった場合、相続手続きは停滞してしまいます。このような状況では、相続人などの利害関係者が家庭裁判所に対し、「遺言執行者の選任」を申し立てる必要があります。しかし、この申立てには手間と時間がかかり、相続人にとって大きな負担となりかねません。

紛争解決の専門家である弁護士に任せるメリット

相続人間の対立が予想される、あるいはすでに発生してしまった状況では、紛争対応が可能な弁護士への相談が選択肢となります。

弁護士は、法律事件に関する代理や和解交渉などを業務として取り扱うことができる専門家です(ただし、弁護士が遺言執行者である場合でも、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得て辞任することがあります)。

また、遺言書を作成する段階から弁護士に相談することで、将来起こりうる紛争を予測し、それを未然に防ぐための条項を盛り込むといった対策も可能です。相続分野に注力している弁護士かどうかを含め、紛争対応まで見据えた専門家選びが重要です。

まとめ:遺言作成は将来の紛争も見据えた専門家選びが重要

信託銀行の遺言信託は便利なサービスですが、相続人間の紛争には対応できないという大きな限界があります。「万が一」の事態が発生した際に、遺言執行者が不在となり、かえって手続きが複雑化してしまうリスクを理解しておくことが大切です。

遺言者の意思をできるだけ円滑に実現するためには、単に手続きを代行するだけでなく、将来の紛争リスクも踏まえて対応できる専門家を選ぶことが重要です。特に、少しでも相続トラブルの可能性がある場合には、最初から紛争解決のプロである弁護士に相談することをお勧めします。具体的な作成手順については、「遺言公正証書の作成手順」をご覧ください。

認知症JR事故の最高裁判決

2016-03-02

昨日,認知症で徘徊中の男性が列車にはねられて死亡した事故についてJR東海が家族(妻及び長男)に損害賠償 (さらに…)

過払金の最新判例

2016-01-28

取引中断で過払金が時効に?諦める前に知るべき最高裁判決

消費者金融等と長年にわたり取引をされている方の中には、「一度完済したけれど、数年後に再び借り入れを開始した」という経験をお持ちの方が少なくありません。このようなケースで過払金請求を検討する際、多くの方が直面するのが「取引の中断期間」と「時効」の問題です。

過去の取引で発生した過払金も、最後の取引から10年が経過すると時効によって消滅してしまう可能性があります。そのため、「昔の過払金はもう戻ってこないばかりか、今残っている借金は全額返さなければならないのか」と、不安に感じてしまうのは当然のことでしょう。

しかし、ここで諦める必要はありません。たとえ過払金返還請求権が時効で消滅したと判断されたとしても、残っている借金との相殺の抗弁について審理判断すべきだとした、極めて重要な最高裁判決(平成27年12月14日判決)が存在するのです。本記事では、この判決があなたの状況をいかに好転させる可能性があるかを、専門家の立場から分かりやすく解説します。借金問題の全体像については、債務整理(破産、任意整理、個人再生、過払金)で体系的に解説しています。

なぜ取引の「中断期間」が過払金額に影響するのか

最高裁判決の重要性を理解するために、まず「なぜ取引の中断期間が問題になるのか」という背景を知る必要があります。過払金の計算方法には、取引全体をどう捉えるかによって「一連計算」と「分断計算」という2つの考え方があり、どちらが採用されるかで結果が大きく異なります。

過払金計算方法の比較図。「一連計算」は一つの取引として過払金を最大化するのに対し、「分断計算」は取引を分けて過去の過払金が時効になるリスクがあることを示している。

有利な「一連計算」と不利な「分断計算」の違い

この2つの計算方法の違いを整理すると、次のとおりです。

  • 一連計算:最初から最後までのすべての取引を一体の取引として扱う考え方です。この方法では、中断期間があっても過払金と借金が通算されるため、過払金額が最大化され、時効も成立しにくくなります。
  • 分断計算:一度完済した時点で取引を区分し、「中断前の取引」と「中断後の取引」をそれぞれ別のものとして計算する考え方です。

もし分断計算が採用されると、中断前の取引で発生した過払金は、そこから10年が経過すると消滅時効が成立し、返還を求めることができなくなってしまいます。その一方で、中断後に発生した借金はそのまま残るという、借り手にとって非常に不利な状況が生まれます。

貸金業者が「取引は分断している」と主張する理由

貸金業者が裁判などで「取引は分断している」と強く主張するのには、明確な経済的理由があります。分断計算に持ち込むことができれば、貸金業者側には以下の2つの大きなメリットがあるからです。

  1. 中断前の過払金を時効によって消滅させ、返還義務を免れる。
  2. 中断後の借金は減額されることなく、全額を請求できる。

このように、計算方法一つで返済義務の有無や金額が大きく変わるため、過払金請求は貸金業者との法的な争点になり得るのです。

最高裁が示した重要な判断とは(平成27年12月14日判決)

この記事の核心である平成27年12月14日の最高裁判決は、まさにこの「分断計算」が採用され、借り手にとって不利な状況に置かれた事案でした。

この裁判で、下級審である東京高等裁判所は、「中断前の過払金は時効で消滅したため返還請求できず、中断後の借金は全額支払う義務がある」という、貸金業者側の主張を認める判断を下しました。しかし、これは一般的な感覚からすれば、「過払金は返ってこないのに、借金だけは全額払わなければならない」という、非常に不公平に感じられる結論です。「せめて、残っている借金と時効になった過払金を相殺できないのか」と考えるのが自然な感情ではないでしょうか。

この点について、最高裁判所は高裁の判断の一部を覆し、「時効により消滅したと判断される過払金返還請求権を自働債権として、残っている貸金債権と相殺する抗弁についても審理判断すべきである」という重要な判断を示したのです。これは、たとえ過払金についての新しい最高裁判決で示されるような複雑な事情があっても、当事者間の公平性を重視した極めて重要な判断といえます。

この結論に至った背景には、借り手は「過去に払い過ぎたお金(過払金)があるのだから、それが今の借金に充当されるはずだ」と期待するのが当然である、という考え方があります。最高裁は、この借り手の合理的な期待を保護すべきだと判断したのです。

この判決があなたにもたらす可能性と取るべき行動

この最高裁判決は、取引に中断期間がある方にとって、非常に大きな意味を持ちます。たとえ裁判で「一連計算」が認められず、不利な「分断計算」と判断された場合でも、諦める必要はありません。時効になったとされる過払金について「相殺」を主張することで、現在の借金について、相殺により負担を軽減できる可能性が残されているのです。

ただし、一連計算や相殺の主張を個人で行うことは容易ではありません。正確な引き直し計算や、判例に基づいた法的な主張には、高度な専門知識が不可欠です。特に、貸金業者が取引の分断を強く争ってくるようなケースでは、その難易度はさらに高まります。

もしあなたが過去の取引の中断や時効でお悩みであれば、まずは過払金問題に精通した弁護士にご相談ください。複雑な状況であっても、この最高裁判決のように、法的な検討により、対応の余地が見つかるケースは少なくありません。あなたの状況に応じた解決方法を検討できます。

当事務所は、初回のご相談は1時間まで無料です。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご連絡ください。

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