遺言があるのに訴訟が必要な場合とは?代表的な3場面と手続の選択

遺言があっても訴訟が必要な3つの場面

遺言書が残されていても、相続人間で深刻な対立が生じると、地方裁判所などでの「訴訟(民事裁判)」が必要になるケースがあります。代表的な場面は次の3つです。

  1. 遺言書の有効性を争う場合(遺言無効確認訴訟など)
    認知症による遺言能力の欠如、自筆証書遺言の形式不備、偽造の疑いなど、遺言の効力自体に争いがある場面です。なお、家庭裁判所の「検認」は遺言書の形状等を確認する証拠保全手続にすぎず、有効・無効を判定するものではありません。そのため、効力の決着には訴訟が必要となります。
  2. 遺留分を巡る金銭の対立がある場合(遺留分侵害額請求訴訟)
    遺言自体は有効でも、「特定の相続人に全財産を相続させる」といった偏った内容によって最低限の取り分(遺留分)が侵害された場面です。遺留分侵害額請求を行い、話し合いや調停を進めても返還額の合意ができないときは、訴訟で解決を図ります。
  3. 遺言に沿った財産取得が妨げられる場合(引渡請求・登記手続請求訴訟など)
    有効な遺言があるにもかかわらず、他の相続人が遺産である不動産を占拠して明け渡さない、あるいは不実の登記がされており単独申請では名義変更できないなど、遺言の内容を実現できない場面です。

遺言があっても訴訟が必要な3つの場面と家庭裁判所・地方裁判所の手続の違いを示す図解

争いに応じた手続の選び方と最初の対応

遺言の効力や遺留分の問題は、まず当事者間の協議や家庭裁判所の「調停」で合意を目指すのが基本です(調停前置主義)。しかし、調停はあくまで話し合いの場であり、双方が合意できなければ不成立で終了してしまいます。

また、遺産の分け方を決める「遺産分割審判」では、遺産分割の前提問題である遺言の有効・無効を確定させたり、遺留分の金銭支払や遺言に基づく財産の引き渡しを直接解決したりすることはできません。そのため、これらの対立が解消しない場合は「民事訴訟」を選択し、裁判官の判決を得る必要があります。

もっとも、最初から訴訟が必要かどうかを即断する前に、まずは手元の遺言書(形式や内容、検認の有無)や、相続関係・財産の基本資料を確認することが大切です。遺留分の時効(相続開始と侵害を知った時から1年以内に相手方への権利行使の意思表示が必要)や証拠散逸のリスクを防ぎ、調停と訴訟のどちらから進めるべきか適切な手続を見極めるためにも、お早めに弁護士へご相談ください。

千葉市の早川法律事務所では、相続に関する初回のご相談を1時間まで無料で承っております。遺言を巡るトラブルでお悩みの方は、お問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。

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