別居と児童手当

Child's hands rest on a yellowed document with Japanese text on a wooden table in warm light.

【結論】別居中でも児童手当は受け取れます

夫との離婚を考え、お子様を連れて別居に踏み切ったものの、児童手当がこれまでどおり夫の口座に振り込まれ続けるのではないかとご不安になっていませんか。結論から申し上げます。離婚協議中(離婚している場合を含む。)のために別居していて、生計を同じくしていない場合は、原則として、お子様と同居して監護している親が児童手当を受給できます。

かつては離婚が成立しなければ受給者の変更が困難な運用がなされていましたが、平成24年の制度改正(児童手当法の一部改正等)により、離婚協議中(離婚している場合を含む。)で別居し、生計を同じくしていない場合には、児童と同居している親を受給者として認定する「同居優先」の取扱いが明確に示されました。これにより、離婚成立を待たずして、受給者を変更する道が開かれています。

この記事では、児童手当の受給者を変更するための具体的な条件や手続きについて、専門家の視点から分かりやすく解説します。離婚問題の全体像については、離婚で体系的に解説していますので、併せてご参照ください。

参照:児童手当Q&A(配偶者と別居されている場合の取扱いについて)|こども家庭庁

児童手当の受給者を変更するための2つの条件

児童手当の受給者を変更するためには、原則として以下の2つの条件を満たす必要があります。ご自身の状況が当てはまるか、ご確認ください。

  1. 配偶者と別居し、お子様と同居していること
    離婚協議中(離婚している場合を含む。)のために配偶者と別居しており、申請者がお子様と同居して監護している事実が必要です。住所が別であること(世帯分離を含む。)等により確認されます。
  2. 離婚協議中であることが客観的に証明できること
    単なる別居ではなく、「離婚に向けた協議が進んでいる」状態であることを公的に示す必要があります。これが、手続きにおける最も重要なポイントとなります。

なお、相手方から生活費の仕送り、すなわち婚姻費用を受け取っている場合でも、児童手当の受給資格には影響しません。児童手当は、あくまで実際にお子様を養育している親に支給されるべきものだからです。

別居中に児童手当の受給者を変更するための2つの条件を示した図解。条件1は子どもとの同居、条件2は離婚協議中であることの証明が必要であることを示している。

受給者変更の具体的な手続きと必要書類

受給者の変更手続きは、お住まいの市区町村の役所窓口で行います。その際、前述の「離婚協議中であること」を証明する客観的な書類の提出を求められるのが一般的です。

具体的には、以下のような書類が該当します。

  • 離婚調停の期日呼出状の写し(離婚調停申立書の写し)
  • 家庭裁判所が発行する事件係属証明書
  • 弁護士が作成した、離婚協議の依頼を示す内容証明郵便の謄本

しかし、自治体によっては、これらの公的な書類がなくても認められるケースがあります。実際に、当事務所でもご依頼者様のために、弁護士が離婚事件を受任している旨の証明書を作成し、自治体に提出したところ、無事に受給者変更の手続きが進んだという実績がございます。

このように、弁護士に依頼することで、家事調停などの法的手続きを待たずに、迅速かつ円滑に児童手当の受給者変更を進められる可能性があります。相手方が手続きに非協力的である場合など、ご自身での対応が困難な状況では、専門家を頼ることが有効な選択肢となります。

別居中の児童手当に関するよくあるご質問

ここでは、別居中の児童手当に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 相手が手続きに協力してくれませんが、変更できますか?

A1. 変更は可能です。受給者変更は、現在受給している相手方の同意がなくても、実際にお子様を養育している親が単独で申請できます。前述の「離婚協議中であることを証明する書類」を揃えて、役所の窓口で手続きを進めてください。

Q2. 手続きが遅れてしまいました。さかのぼってもらえますか?

A2. 児童手当は原則として申請した月の翌月分から支給され、原則として遡っての支給はできません。ただし、出生・転入などの届出では、事由発生日の翌日から15日以内の申請で取扱いが異なる場合があります。また、受給者変更についても手続期限が設けられている自治体がありますので、別居を開始したらできるだけ早く市区町村に確認のうえ申請してください。

Q3. まだ住民票を移せていないのですが、申請できますか?

A3. 住民票を異動させてから申請するのが原則です。DVなどのやむを得ない事情がある場合は、住民票を移していなくても手続きが認められる可能性がありますが、その事情を証明する必要があります。まずは速やかに住民票を移し、手続きを進めることを強くお勧めします。

児童手当は、離婚後の生活を支える養育費と共に、お子様の健やかな成長のために不可欠なものです。手続きについてご不明な点があれば、決して一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。

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