財産分与について

離婚の際に相手方に請求できる金銭として,財産分与があります。財産分与には,扶養的な意味合いがある場合もありますが,多くは,婚姻中に形成した夫婦共有財産の清算としての意味合いです。

財産分与の計算方法は,原則として,別居時に存在していた夫婦双方の財産を足して2分の1とします。

多くの弁護士は単純にこれだけで計算してしまいますが,実は,事情によっては,別居時にはすでに存在していなかった財産を存在していたものとして計算する場合もあります。

東京地裁平成17年11月8日判決は,別居時にはすでに使ってしまって存在していなかった合計600万円につき,別居時に残っていたものとみなしてこの2分の1である300万円の財産分与の支払いを命じました。

具体的には,サラ金の借金の返済のために夫婦の共有財産である300万円がすでになくなっていましたが,借金は婚姻前からの個人の趣味のために生じたものであるから,この支出によって夫婦共有財産が300万円分なくなったものではなく,別居時にはなおその金額が残っていたものとしました。

また,自動車を購入するために個人財産から300万円を支出しているが,この購入代金は本来共有財産から支出されるべきものであり,共有財産としてこの代金相当額が残っているものと考えるのが相当としました。

財産分与は,実は奥が深いため,このブログでも色々と裁判例を紹介していこうと思います。

 

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