遺言に記載された日付が遺言完成日と異なっていても有効とされた判例

自筆遺言を書く場合、日付も自分で書く必要があり、押印も必要です(民法968条1項)。この場合の日付は、遺言を完成させた日を記載するべきとするのが過去の最高裁判例でした。

ところが、昨日、最高裁で、記載されている日付が遺言を完成させた日付と違っていてもそれだけでは無効にはならない場合があるとの判決が出されました。

問題となった事例は、遺言者が入院中4月13日に遺言の全文及びその日の日付と名前を自書し、退院してから9日後の5月10日に印鑑を押したというものでした。

最高裁は、遺言が完成したのは印鑑を押した5月10日だと認定しながら、この事実関係の下では4月13日の日付が遺言に記載されていてもそれだけで無効にするべきではないと判断しました。

自筆遺言では、法律上、方式が厳格に決められていますが、最高裁は、「必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは、かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある」として、遺言の方式の厳格性を緩めました。

このように、一見、遺言の方式が法律に違反するように見えても、具体的事情の下ではそれだけで無効にはならない場合もあり得ますので、裁判所の判断を仰ぐ価値がある事例も存在すると思われます。

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