相手方に裁判を起こしたかったり請求をしたいが,相手方が転居してしまって転居先がわからないことがあります。相手方が住民票を異動していれば,戸籍の附票を取ることによって相手方の新住所がわかりますが,住民票がそのままの場合には別の手段を検討する必要があります。
住民票をわざと移転していない人でも,郵便物は受け取りたいと思うのが人情ですので,郵便局に郵便物の転送手続をとっているのが通常と思われます。そこで,弁護士会を通じて郵便局に相手方の転居先を照会するのですが,日本郵便は守秘義務を理由に一切応じません。
日本郵便が照会を拒否するのは違法との判決があったのですが,最高裁が結論変更に必要な弁論期日を9月6日に指定したとのことですので,どうやら最高裁は結論を変えそうです。そうすると,相手方の新住所がわからない場合には,公示送達しか手段がなくなるかもしれません。
(追記)
平成28年10月18日,最高裁は,「23条照会に対する報告を拒絶する行為が,23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないというべきである」と判示しましたが,日本郵便が23条照会に対する報告をする義務を負うか否かについては審理を差し戻しました。したがいまして,まだ,日本郵便が照会を拒否するのは違法か否かについては結論が出ていません。