以前のコラムでも何回か書きましたが、交通事故の加害者側保険会社からの賠償額の提示は、保険金の支払いを抑えるためか、不当に低いものが多いです。
最近の事件では、とある新興の保険会社が、自賠責基準を提示してきました。
任意保険会社は、自賠責基準部分については自賠責から回収ができます。したがって、自賠責基準で和解できれば、自分の支払いは0円で済むということになります。
つまり、自賠責基準を提示してくる保険会社は、被害者が何も知らずに自賠責基準で和解すれば自らの懐を全く傷めずに済むので、そのような提示をしてくるのです。
この事件では、さすがに当事務所が被害者の代理人に就いていたので、相手方保険会社は自賠責基準を提示しながらも、電話でわざわざ交渉の余地があることを知らせてきました。弁護士が代理人に就いていなければ、相手方保険会社は、そのような電話で知らせることもなく、被害者が自賠責基準で和解してくれることを期待して待つだけでしょう。
この件では、結局、ほぼ裁判基準どおりの和解をすることができました。後遺症がない事案ではありましたが、相手方保険会社の提示から約40万円増額させることができました。
このように、保険会社は、被害者に弁護士が就いているか否かで対応を変えてきますので、交通事故の被害に遭われたときには、交渉を弁護士に依頼することをお勧めいたします。