不幸にも交通事故でお亡くなりになってしまった場合,事故がなければ得ていたであろう将来賃金等を賠償請求できます。これを逸失利益と言います。
逸失利益の算定式は,一般に,基礎収入額×(1-生活費控除率)×中間利息(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)です。
基礎収入額とは,給与所得者の場合は原則として事故前年の年収となり,主婦の場合には賃金センサスという厚労省の統計の平均賃金となります。学生や幼児の場合にも賃金センサスを使用して算出します。
生活費控除率とは,収入の中から将来かかったであろう生活費を控除する割合であり,独身男性の場合には収入における生活費率が高いため50%となり,女性の場合には30%となります。
中間利息とは,将来分の賃金まで一括で受け取れることになると,本来であれば受け取れなかった時期までの利息分を得してしまうとの考え方から,利息分を控除するものです。民法改正前の現在では年5%で計算されており,計算を楽にするためにライプニッツ係数というものが使われています。
ライプニッツ係数は,就労可能年数を年5%の利息控除で修正したものです。就労可能年数は,67歳まで働くことを前提にしており,例えば,37歳でお亡くなりになった場合,就労可能年数は30年となりますが,年5%の利息控除で修正すると,15.3725という数値になります。
ここまでのところをまとめますと,例えば,事故前年の年収が600万円だった独身男性が37歳で死亡した場合,逸失利益の計算方法は,
6,000,000×(1-0.5)×15.3725=46,117,500円
となります。
現実には,これほど単純にはいかず,基礎収入としてどの数字を使うかなどが争いになったりしますので,正当な賠償を得るためには,弁護士にご依頼することをお勧めいたします。