年金を担保に融資が受けられる年金担保貸付の受付が2021年度末で終了し、事業が終了するようです。
年金を担保としてお金を借りることは法律で禁止されていますが、独立行政法人福祉医療機構が実施している年金担保貸付は例外として認められていました。
この制度が、なぜ廃止されるかというと、色々な問題点があるからです。
年金担保貸付でお金を借りた場合、その返済は年金から天引きされることで行われます。
つまり、実際に受領できる年金額が減ってしまうということです。
もともとお金に困って年金担保貸付を利用した人ですから、年金額が減ってしまえば、さらにお金に困ります。
借金をゼロにするためには自己破産という制度がありますが、年金担保貸付の場合、年金が担保に入ってしまっているので、破産をしたとしても、全額返済するまで天引きは続きます。担保というのは、お金を借りた人が破産などをしても優先的に返済を受けることができるようにするためのものだからです。
したがいまして、自己破産でも年金担保貸付による借金をゼロにすることはできません。
これが年金担保貸付の怖いところです。
年金担保貸付の事業が終了すれば被害者が減るため、債務整理に関わる弁護士としては非常に喜ばしいところですが、事業が終了するまでにはまだしばらく時間がかかりますので、年金担保貸付には絶対に手を出さないことを強くおすすめいたします。