離婚を考え始めたら、まず何をすべきか?
「もう、この人とは一緒にいられないかもしれない…」
離婚という二文字が頭をよぎったとき、多くの方が先の見えない不安と混乱で、胸が張り裂けそうになるのではないでしょうか。何から手をつければいいのか、お金のことはどうなるのか、子どもの将来は…。考えれば考えるほど、一歩を踏み出すのが怖くなってしまうかもしれません。
しかし、感情のままに行動してしまうと、後で「こうしておけばよかった」と後悔する事態になりかねません。大切なのは、冷静に、そして戦略的に準備を進めることです。この人生の大きな決断を、あなたの新しい未来への確かな一歩にするために、まずは落ち着いて、今できることから始めていきましょう。
気持ちの整理と証拠集め:後悔しないための第一歩
まず、ご自身の心と向き合う時間を取りましょう。本当に離婚したいのか、それとも関係を修復する道は残されていないのか。紙に書き出してみるのも良い方法です。「離婚したい理由」「相手への不満」「結婚生活を続けるメリット・デメリット」「離婚後の理想の生活」などを客観的に見つめ直すことで、自分の本当の気持ちが見えてくることがあります。
もし離婚の意思が固いのであれば、次にすべきは相手にその気持ちを伝えること…ではありません。その前に、あなたにとって有利な条件で話し合いを進めるための「証拠集め」を始めることが極めて重要になります。
例えば、相手の不貞行為(浮気・不倫)が原因であれば、メールやSNSのやり取り、写真、探偵の調査報告書などが有効です。DVやモラハラであれば、怪我の写真、医師の診断書、暴言の録音、詳細な日記などが証拠となり得ます。こうした客観的な証拠があるかどうかで、慰謝料請求や財産分与などの話し合いの行方が大きく変わってくるのです。
「どんなものが有効な証拠になるかわからない」という段階でも、ぜひ一度弁護士にご相談ください。早い段階で専門家のアドバイスを受けることで、的を射た証拠集めが可能になります。
離婚後の生活設計:お金と住まいの見通しを立てる
離婚後の生活に対する漠然とした不安は、その正体を具体的にすることで、解決すべき「課題」に変わります。まずは、ご自身の経済状況を正確に把握しましょう。
- 収入:ご自身の給与、パート収入など
- 支出:家賃、食費、光熱費、通信費、保険料、子どもの教育費など
これらを洗い出し、「離婚後に一人(あるいは子どもと)で生活する場合、毎月いくら必要か」をシミュレーションしてみてください。そして、その生活費をどのように賄うかを考えます。
離婚時には、夫婦で協力して築いた財産を分け合う「財産分与」や、子どものための「養育費」を受け取れる可能性があります。また、別居から離婚成立までの生活費として婚姻費用を請求できる権利もあります。これらで、いくらくらい受け取れる可能性があるのか見込みを立てることで、経済的な見通しが立ち、交渉の指針にもなります。
住まいについても、実家に戻る、新しくアパートを借りる、公営住宅を申し込むなど、具体的な選択肢を検討しておきましょう。離婚後の生活をリアルにイメージすることが、今の不安を乗り越える力になるはずです。

【図解】離婚成立までの3つの手続きと流れ
離婚への道は、一本道ではありません。夫婦の関係性や状況によって、進むべきルートは異なります。ここでは、離婚が成立するまでの代表的な3つの手続き「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の流れを、それぞれの特徴と合わせて解説します。ご自身が今どの段階にいて、次に何を目指すべきなのか、全体像を把握しましょう。

①協議離婚:夫婦の話し合いで解決する
協議離婚は、夫婦が話し合いによって離婚に合意し、役所に離婚届を提出することで成立する方法です。日本では協議離婚が広く利用されており、代表的な離婚の方法と言えるでしょう。
メリットは、裁判所を通さないため、時間や費用を抑えられ、プライバシーも守られる点です。デメリットは、あくまで当事者間の合意が前提となるため、感情的になってしまったり、どちらか一方が有利な条件を押し付けたりする可能性があることです。
話し合いでは、以下の点を漏れなく決める必要があります。
- 親権者をどちらにするか
- 養育費はいくらか、いつまで支払うか
- 親子交流の頻度や方法は
- 財産分与をどうするか
- 慰謝料の有無と金額
- 年金分割について
そして、ここで最も重要なのが、合意した内容を必ず書面に残すことです。口約束だけでは、後になって「言った、言わない」のトラブルになりかねません。特に養育費や財産分与など金銭の支払いに関する約束は、「公正証書」という公的な文書にしておくことを強くお勧めします。公正証書には、支払いが滞った場合に直ちに強制執行を受けてもやむを得ない旨(強制執行認諾文言)を記載しておくことで、調停や審判といった手続を経ることなく強制執行の手続を行えるようになり、約束の確実性を高めることができます。
当事務所にご相談いただければ、あなたにとって不利な内容になっていないか合意内容を精査し、公正証書の作成までしっかりサポートいたします。
②調停離婚:裁判所で第三者を交えて話し合う
「夫婦だけでは感情的になってしまい、話し合いにならない」「相手が離婚条件に応じてくれない」…そんな場合に選択するのが、家庭裁判所での「調停離婚」です。
調停と聞くと難しく感じるかもしれませんが、これは裁判のように白黒をつける場ではなく、あくまで話し合いの延長線上にある手続きです。裁判官と、男女2名の「調停委員」という民間人が間に入り、双方の意見を公平な立場で聞きながら、合意点を探る手助けをしてくれます。当事者同士が顔を合わせずに話を進めることもできるため、冷静に話し合えるというメリットがあります。
申立ては、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。費用は数千円程度で、期間は半年から1年ほどかかるのが一般的です。調停で合意に至れば「調停調書」が作成され、これは判決と同じ効力を持ちます。
この段階で弁護士に依頼すると、調停期日に同席し、あなたの主張を法的な観点から的確に代弁することが可能です。また、相手方から提示された条件が妥当かどうかも即座に判断できます。より具体的な家事調停の流れについては、こちらの記事もご参照ください。
③裁判離婚:最終的な判断を裁判所に委ねる
調停でも話し合いがまとまらなかった場合、最終的な手段として「裁判離婚(訴訟)」へと進むことになります。これは、夫婦双方の合意がなくても、裁判官が法的な離婚原因(法定離婚事由)があると認めれば、判決によって強制的に離婚を成立させる手続きです。
民法で定められた離婚原因には、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明などがありますが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という項目も存在します。実際の裁判例ではこの項目が広く解釈される傾向にあり、夫婦関係が既に破綻していると認められれば、離婚が認められるケースは少なくありません。 ですから、「裁判なんて自分には無理だ」と諦める必要はないのです。
ただし、訴訟手続きは非常に専門的かつ複雑で、法的な主張や証拠の提出を的確に行う必要があります。この段階では、訴訟の専門家である弁護士に依頼することが、あなたの正当な権利を守るためにほぼ必須と言えるでしょう。
離婚で損しないために。知っておくべきお金の問題
離婚後の新しい生活を安心してスタートさせるためには、お金の問題を避けて通ることはできません。あなたが受け取れる可能性のあるお金について、その権利と中身を正しく理解し、損をすることのないようにしましょう。

財産分与:夫婦で築いた財産は2分の1が原則
財産分与とは、結婚してから離婚するまでの間に、夫婦が協力して築き上げた財産を分け合うことです。どちらの名義になっているかは関係なく、貢献度に応じて公平に分けるのが基本で、専業主婦(主夫)の貢献も認められるため、分与の割合は原則として2分の1とすることが多くなっています。
対象となる財産は、預貯金、不動産、自動車、株式、保険の解約返戻金など、多岐にわたります。また、事情によっては、将来支給される可能性のある退職金が問題となることもあります。一方で、結婚前から持っていた預金や、親から相続した遺産などは「特有財産」とされ、分与の対象にはなりません。
相手が財産を隠しているようなケースでは、弁護士が法的な手続きを通じて財産調査を行うことも可能です。ご自身の財産分与について、少しでも疑問があればご相談ください。
慰謝料:精神的苦痛に対する損害賠償
慰謝料は、すべての離婚で発生するわけではありません。相手の不貞行為(浮気・不倫)やDV・モラハラといった有責行為によって、あなたが受けた精神的苦痛に対する損害賠償として請求できるものです。性格の不一致など、どちらか一方に明確な原因があるとは言えない場合には、慰謝料の請求は難しいのが一般的です。
慰謝料を請求するためには、その原因となった行為を証明する客観的な証拠が不可欠です。金額は、有責行為の内容や期間、婚姻期間などを考慮して判断され、事案によって大きく異なります。不倫の慰謝料請求には、専門的な知識も必要となります。
養育費:子どもの権利として必ず請求する
養育費は、子どもが社会人として自立するまでに必要となる生活費や教育費、医療費のことです。これは親の離婚の都合に関わらず、子どもが健やかに成長するために受け取るべき「子どもの権利」であり、親には支払う「義務」があります。
金額は、裁判所が公開している「養育費算定表」を基に、夫婦双方の収入に応じて決められるのが一般的です。支払期間は、原則として子どもが20歳に達するまでを目安としつつ、大学進学などを考慮して「22歳に達した後の最初の3月まで」などと取り決めることもあります。
たとえ離婚時に「養育費はいらない」と約束してしまっても、後から請求できる場合があります。将来支払いが滞った場合に備え、必ず公正証書などの書面で取り決めを交わしておきましょう。お子さんの未来を守るためにも、養育費は必ず請求すべき大切なお金です。
年金分割:将来のための大切な手続き
年金分割は、婚姻期間中の厚生年金(または共済年金)の保険料納付実績を、夫婦で分け合うことができる制度です。これは、婚姻中の保険料は夫婦が共同で納めたものという考えに基づいています。特に、婚姻期間中に専業主婦(主夫)やパートタイマーで、ご自身の厚生年金加入期間が短い・ない方にとっては、将来受け取る年金額を増やすための非常に重要な手続きです。
この制度は仕組みが複雑で、手続きには離婚後2年以内(令和8年4月1日以降の離婚は5年以内)という期限もあります。ご自身のケースでどのくらいの分割が可能なのか、詳しくは弁護士にご相談ください。
離婚したい、でもお金がない…そんな時の対処法
「離婚したい気持ちは固まっているのに、当面の生活費等が不安で一歩を踏み出せない…」これは、非常に多くの方が抱える切実な悩みです。しかし、経済的な理由だけで諦める必要はありません。あなたを支えるための道は、必ずあります。
離婚後の生活を支える公的支援制度を活用する
離婚後の生活、特にひとり親家庭になった場合の経済的な基盤を支えるため、国や自治体には様々な公的支援制度が用意されています。
- 児童扶養手当:ひとり親家庭などを対象に支給される手当です。
- ひとり親家庭等医療費助成制度:親と子の医療費の自己負担分を助成する制度です。
- 住宅手当(家賃補助):自治体によっては、家賃の一部を補助する制度があります。
- 就労支援:ハローワークなどで、ひとり親向けの就労支援プログラムが用意されています。
これらの制度は、ご自身で申請しなければ利用できません。お住まいの市区町村の役所の窓口で相談し、利用できる制度は積極的に活用しましょう。情報を知っているかどうかが、離婚後の生活の安定に大きく影響します。

離婚問題は弁護士に相談すべき?依頼のタイミングと費用
離婚という大きな問題に一人で立ち向かうのは、精神的にも肉体的にも大変な負担がかかります。そんなとき、法律の専門家である弁護士は、あなたの最も頼れる味方になります。
弁護士に依頼した方がよいケースと相談のタイミング
特に、以下のようなケースでは、弁護士に依頼することを強くお勧めします。
- 相手が感情的で、まともな話し合いができない
- 相手が離婚そのものに応じてくれない
- DVやモラハラを受けている
- 財産分与や慰謝料のことで揉めている
- 子どもの親権を強く争っている
- 相手に弁護士がついた
では、相談する最適なタイミングはいつでしょうか。それは、「相手に離婚を切り出す前」です。事前に相談することで、有利な交渉を進めるためのシナリオを立て、集めるべき証拠について具体的なアドバイスを受けることができます。もちろん、どの段階であっても手遅れということはありませんが、早期の相談が、より良い解決への近道となるのです。
弁護士に依頼することで、煩雑な手続きや相手との直接交渉から解放され、精神的な負担が大きく軽減されます。そして何より、法的な知識不足から不利な条件で合意してしまうリスクを防ぎ、あなたの正当な権利を守ることができます。
弁護士費用の相場と当事務所の料金体系
弁護士費用は、主に「相談料」「着手金」「報酬金」で構成されています。着手金はご依頼時にいただく費用、報酬金は事件が解決した際に、その成功の度合いに応じていただく費用です。
当事務所では、離婚問題に関するご相談は初回1時間無料でお受けしております。まずは費用を気にせず、あなたの状況をお聞かせください。ご依頼いただく際の弁護士費用についても、明確な料金体系をご提示し、丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。
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