中小企業法務

法務部不在の中小企業が直面する3つの典型的な法的課題

日本の企業の99%以上を占める中小企業。その多くは、専門の法務部を持たず、経営者ご自身や総務担当の方が通常業務と兼任で法務を担っているのが実情ではないでしょうか。「契約書の内容は、まあ、こんなものだろう」「従業員とのちょっとした揉め事は、話し合えば解決するはず」「売掛金の支払いが少し遅れているだけだ」——。日々の忙しさの中で、そうした法務リスクの芽を見過ごしてはいないでしょうか。

しかし、こうした小さな綻びが、ある日突然、会社の根幹を揺るがす大きなトラブルに発展する可能性を秘めています。この記事では、多くの中小企業が直面しがちな「契約」「労務」「債権回収」という3つの代表的な法的課題に焦点を当て、具体的なリスクと、専門家である弁護士がどのように解決に導くのかを分かりやすく解説していきます。自社の状況と照らし合わせながら、ぜひ読み進めてみてください。

課題1:契約書のリスク|不利な条項を見逃していませんか?

企業活動は、大小さまざまな「契約」によって成り立っています。取引先との基本契約、業務委託契約、秘密保持契約など、契約はビジネスの土台そのものです。そして、ひとたびトラブルが発生した際には、この契約書が解決の拠り所となります。

契約条項がしっかりと練られていれば、問題が起きても契約に基づいたスムーズな解決が可能です。裁判になったとしても、裁判所は契約内容を基に判断を下します。それどころか、公序良俗に反せず、かつ法令中の公の秩序に関しない規定(任意規定)の範囲であれば、契約で法律の定めと異なる内容を定めることもできます。

しかし、逆に契約内容が曖昧だったり、相手方から提示された雛形をよく確認せずに使っていたりするとどうなるでしょうか。トラブルは裁判にまで発展しやすくなり、解決までに多大な時間と費用がかかるだけでなく、お互いに「言った、言わない」の水掛け論に陥りがちです。そうなると、法的に「証明」する責任を負う側が、大きな不利益を被ることも少なくありません。

インターネットで手に入る雛形を安易に利用したり、取引先から提示された契約書を鵜呑みにしたりすることは、自社に不利な条項を見逃す原因となります。例えば、管轄裁判所が遠方に指定されていたり、損害賠償の上限が不当に低く設定されていたりといった、一見すると些細な条項が、いざという時に命取りになりかねません。将来の紛争を未然に防ぎ、自社を守る盾として、弁護士による専門的な契約書のリーガルチェックは極めて重要です。

課題2:労務問題|従業員とのトラブルは経営を揺るがします

従業員の雇用も「雇用契約」という契約の一種ですが、他の契約とは大きく異なります。なぜなら、労働者の権利は労働基準法などの法律によって手厚く保護されているからです。経営者がこの点を軽視して対応すると、思わぬところで足をすくわれ、経営に深刻なダメージを与えかねません。

山積みの書類を前に頭を抱える中小企業の経営者。労務問題の深刻さを象徴している。

労働者とのトラブルで多いものに、賃金に関するもの、人事異動に関するもの、解雇に関するもの、職場内のトラブルに関するものなどがあります。法律で守られている労働者と対峙するためには、企業側も法律を知った上で、労働者に対抗できる手順を踏み、証拠化しておく必要があります。例えば、解雇一つとっても、法律上の要件を満たさなければ「不当解雇」として、従業員の地位確認や多額の金銭支払いを命じられるリスクがあるのです。

感情的な対立に発展しやすい労務問題だからこそ、初期対応が肝心です。就業規則を法的に不備のない形で整備しておくことはもちろん、トラブルが発生した際にすぐに相談できる弁護士の存在は、問題をこじらせず、迅速に解決するための大きな助けとなるでしょう。

課題3:債権回収|売掛金の未払いは資金繰りに直結します

「取引先からの入金が予定日を過ぎてもない…」こうした売掛金の未払いは、中小企業のキャッシュフローに直接的な打撃を与えます。サービスや商品を提供したにもかかわらず、その対価が支払われない状況が続けば、健全な経営は成り立ちません。これは卸売業や製造業に限らず、例えば病院や診療所における未払い診療報酬など、多くの業種で経営者を悩ませる深刻な問題です。

支払いが滞った場合、ただ待っているだけでは状況は好転しません。弁護士に相談すれば、督促、訴訟、保全、執行といった法的な選択肢の中から、状況に応じた最適な手段を講じることができます。

意外に思われるかもしれませんが、弁護士の名前で内容証明郵便を送付するだけでも、相手方に心理的なプレッシャーを与え、支払いに応じさせる効果が期待できるケースは少なくありません。また、本格的な訴訟に入る前に、相手方の財産を仮に差し押さえる「保全手続」も非常に有効です。これにより、相手方が財産を隠匿したり費消したりするのを防ぎ、回収の確実性を高めることができます。

注意すべきは、債権には消滅時効があるという点です。一定期間が経過すると請求する権利そのものが失われてしまうため、まさに時間との戦いといえます。売掛金の未回収問題は、迅速な法的手段の検討が不可欠です。

弁護士による具体的な解決策と費用

法的な課題が見えてきても、次に気になるのは「弁護士に頼むと、一体いくらかかるのか?」という点でしょう。ここでは、先ほど挙げた3つの課題について、弁護士が提供する具体的な解決策と、その費用感について解説します。費用対効果を正しく理解することが、弁護士への相談を具体的に検討する第一歩です。

当事務所の弁護士費用に関する詳しい情報については、弁護士費用のページで体系的に解説しています。

【契約書】リーガルチェックで将来の紛争を予防する

契約書に関する弁護士のサービスは、主に「リーガルチェック」と「契約書作成」の2つです。当事務所では、契約書チェックを3万円(税込3万3千円)から契約書作成を10万円(税込11万円)から承っています。

一見すると安くない金額に思えるかもしれません。しかし、考えてみてください。数万円の投資で、将来の損害賠償請求や訴訟対応といった大きなコストが発生するリスクを下げられる可能性があります。これは、経営における極めて有効な「保険」と言えるのではないでしょうか。

弁護士は、単に誤字脱字をチェックするのではありません。「自社に一方的に不利な条項はないか」「法的に無効とされる部分はないか」「解釈が分かれるような曖昧な表現はないか」といった専門的な視点で、契約書に潜むあらゆるリスクを洗い出し、貴社を守るための具体的な修正案を提示します。

契約書リーガルチェックの費用対効果を示した図解。弁護士への初期投資が、将来の大きな損害賠償や訴訟費用といったリスクを回避することを示している。

【債権回収】状況に応じた最適な法的手段を選択する

債権回収における弁護士の役割と費用を具体的に説明します。まずは、比較的費用を抑えられる督促から始めるのが一般的です。

当事務所では、内容証明郵便の送付などによる督促を3万円(税込3万3000円)から承っております。弁護士の名前で内容証明郵便を送ることや、支払督促を申し立てることにより、回収ができることもありますので、これだけで解決に至るケースも少なくありません。

それでも支払いに応じない場合は、訴訟へと移行します。訴訟の際の弁護士費用は、一般的に「着手金」と「報酬金」で構成されます。当事務所の場合、着手金は請求額の10%(最低10万円。税別)、報酬金は得た利益の10%(ただし、得た利益が300万円以下のときは16%。税別)が目安となります(実費別)。

弁護士に依頼するメリットは、単に法的手続きを代行するだけではありません。相手方との精神的に負担の大きい交渉や、煩雑な裁判所手続きの一切から解放され、経営者ご自身は本来の事業に集中できるという点も、大きな価値と言えるでしょう。

【事業承継・株主対策】会社の未来を守るための法的整理

中小企業、特に同族経営の会社では、事業承継や株主間のトラブルが経営の安定を脅かすことがあります。「創業者の相続が発生し、株式が複数の相続人に分散してしまった」「経営方針を巡って親族間で対立が起き、会社の意思決定がストップしてしまった」といった事態は、決して珍しくありません。

会社の経営を後継者に譲り渡したいという場合、後継者が安定して経営を行うためには、株式を後継者に集中させる必要があります。しかし、相続が絡むと感情的な対立も生まれやすく、当事者だけでの解決は極めて困難です。

このような複雑な問題こそ、弁護士が専門性を発揮する分野です。早期に弁護士が介入し、法的な観点から状況を整理することで、円滑な解決への道筋が見えてきます。具体的には、遺言書の作成支援、株式譲渡契約の整備、定款の変更など、会社法で定められた様々な制度を活用し、会社の状況に応じた最適な法的整理をご提案し、会社の未来と安定経営を守るお手伝いをします。

参照:事業承継 – 中小企業庁

トラブルを未然に防ぐ「顧問弁護士」という選択肢

これまで、問題が起きてから対応する「臨床法務」について解説してきました。しかし、経営において最も理想的なのは、そもそもトラブルが起きないようにする「予防法務」です。そして、その最も効果的な手段が「顧問弁護士」を持つことです。

顧問弁護士は、いわば「かかりつけの法律専門家」。日本の企業の99%以上を占める中小企業では、法務部が存在しないことも多いため、日常的な業務における法律上の相談をすることがなかなか困難であると聞いています。何か問題が起きてから慌てて弁護士を探すのではなく、日頃から自社の事業内容や内情を理解してくれているパートナーがいる安心感は、何物にも代えがたいものです。

法律事務所で弁護士と握手し、安心した表情を浮かべる経営者。顧問弁護士による問題解決を表現。

「この契約書、少し気になる点があるんだけど…」「従業員への注意指導、法的に問題ないかな?」といった日常業務の些細な疑問も、電話やメール一本で気軽に相談できます。トラブルの芽が小さいうちに摘み取れるため、結果的に大きな紛争に発展するのを防ぐことができるのです。

さらに、万が一訴訟などが必要になった場合でも、事務所によっては弁護士費用について顧問先向けの割引を適用する場合があります。割引の有無・率や条件は契約内容によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。攻めの経営判断に専念するためにも、「守りの経営」の要として、顧問弁護士という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

顧問弁護士(顧問契約)のメリット・費用

まとめ|法的課題は弁護士への早期相談が解決の鍵です

契約、労務、債権回収、事業承継…。この記事でご紹介した法務課題は、決して他人事ではなく、事業を営んでいれば誰もが直面しうる問題です。

最も重要なのは、「これくらい大丈夫だろう」と問題を放置せず、できるだけ早い段階で専門家である弁護士に相談することです。問題が小さいうちに対応すれば、時間も費用も最小限に抑えられる可能性が高まります。相談を先延ばしにした結果、事態が悪化し、より複雑でコストのかかる解決策しか選べなくなってしまうケースは後を絶ちません。

企業活動のほとんどには法律が関わってくるため、法的な対応の誤りは企業に損害を与えかねず、弁護士への相談の重要性については、強調してもしすぎることはないと思います。当事務所は千葉県千葉市を拠点に、中小企業の皆様の法務に関するご相談にも対応しています。経営者の皆様が安心して事業に専念できるよう、法的側面から力強くサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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