不倫慰謝料を請求された方へ|まず落ち着いて状況を確認しましょう
不倫相手の配偶者から不倫(不貞行為)の慰謝料を請求する内容証明郵便が届いた、あるいは突然電話がかかってきた…。
きっと、どうしてよいか分からず、強い不安と焦りを感じていらっしゃることでしょう。今後の生活はどうなってしまうのか、請求された高額な慰謝料を本当に支払わなければならないのかと、一人で悩みを抱え込んでしまっているかもしれません。
しかし、どうかご安心ください。このような状況で最も大切なのは、感情的に行動せず、まずは落ち着いてご自身の状況を正確に把握することです。
パニックになって相手の要求をすべて鵜呑みにしたり、逆に腹を立てて無視したりすることは、事態をさらに悪化させる可能性があります。
この記事では、不倫や浮気の慰謝料を請求された方が、今後どのように対応すべきか、その具体的な流れや減額交渉のポイントについて、弁護士が分かりやすく解説します。
まずはこの記事を読んで、解決への第一歩を踏み出しましょう。
慰謝料請求を無視はNG!起こりうる3つの深刻なリスク
「できれば関わりたくない」「支払いたくない」という気持ちから、慰謝料請求を無視してしまいたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その選択は極めて危険です。不貞行為の慰謝料請求を無視すると、以下のような深刻なデメリットが生じる可能性が高まります。
リスク1:裁判に発展し、不利な判決が出る可能性
あなたが慰謝料請求を無視し続けると、相手方は交渉による解決を諦め、裁判(慰謝料請求訴訟)を起こす可能性が非常に高くなります。
裁判所から届く「訴状」という書類も無視してしまうと、相手方の主張が全面的に認められた「欠席判決」が出てしまう危険性があります。
本来であれば、話し合い(交渉)によって慰謝料の減額や支払い方法について柔軟に決められたはずの事案でも、裁判になるとその機会を失ってしまいます。
結果として、時間も費用も余計にかかり、あなたにとって最も不利な形で決着してしまうことになりかねません。
リスク2:給与や預貯金を差し押さえられる(強制執行)
裁判で判決が出たにもかかわらず、慰謝料の支払いを無視していると、相手方は「強制執行」という法的な手続きをとることができます。
これは、あなたの財産を強制的に差し押さえて、そこから慰謝料を回収する手続きです。
代表的なものとして、給与の差し押さえや預貯金口座の差し押さえがあります。給与が差し押さえられると、勤務先に裁判所から通知が届くため、不倫の事実が職場に知られてしまうリスクも生じます。
あなたの社会的な信用を失い、生活に直接的な打撃が及ぶ、非常に厳しい事態といえるでしょう。
慰謝料請求から解決までの流れと、あなたが取るべき行動
では、実際に不倫の慰謝料を請求された場合、どのような流れで解決まで進んでいくのでしょうか。あなたが各ステップで取るべき行動を具体的に解説します。
Step1:請求内容の確認(書面か電話か?)
まず、請求の内容を正確に確認することがスタートです。内容証明郵便などの書面で請求が届いた場合は、「誰が(請求者)」「誰に(あなた)」「いくらを」「どのような理由(不貞行為の事実)で」請求しているのかを冷静に読み解きましょう。
電話で請求された場合は、その場で安易に回答したり、要求を認めたりせず、「書面で請求内容を送ってください」と伝え、一度電話を切りましょう。
感情的な相手との直接のやり取りは避け、まずは客観的な事実を確認することが重要です。
Step2:弁護士へ相談(支払い義務の有無や減額の可能性を判断)
請求内容を確認したら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は法律の専門家として、以下の点を客観的に判断できます。
- 請求されている慰謝料の金額は法的な相場から見て妥当か
- そもそも慰謝料の支払い義務がある事案か(例:相手の夫婦関係が既に破綻していた場合など)
- 慰謝料を減額できる事情はないか
一人で抱え込まず専門家の助けを借りることが、最善の解決への近道となります。
Step3:相手方との交渉(減額・支払方法)
弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として相手方との交渉(示談交渉)をすべて任せることができます。もちろん、ご自身で交渉することも可能ですが、感情的になりやすく、法的に不利な内容で合意してしまうリスクも伴います。
この交渉の段階で、慰謝料の減額や分割払いといった支払い方法について話し合います。ここで双方の合意ができれば、裁判をせずに問題を解決できます。
Step4:示談書の作成または裁判への移行
交渉がまとまったら、必ず「示談書」を作成します。示談書には、合意した慰謝料の金額や支払方法のほか、「本書に定めるほか、当事者間には何らの債権債務関係がないことを相互に確認する」といった清算条項を盛り込むことが重要です。これにより、後から追加で請求されるといったトラブルを防ぐことができます。
万が一、交渉が決裂した場合は、残念ながら裁判手続きへと移行することになります。
不倫慰謝料の減額交渉|知っておくべき3つのポイント
不貞行為の慰謝料を請求された方が最も気になるのは、「慰謝料を減額できないか」という点でしょう。減額交渉を有利に進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1:請求額が相場からかけ離れていないか?
不倫(不貞行為)の慰謝料には、ある程度の法的な相場が存在します。請求された金額が、この相場から著しくかけ離れた高額なものである場合、減額を主張できる可能性は十分にあります。
| 不倫が原因で離婚に至った場合 | 100万円~300万円程度 |
| 不倫が発覚したが離婚はしない場合 | 数十万円~150万円程度 |
不倫・不貞行為における慰謝料の相場(目安)
もちろん、これはあくまで目安であり、個別の事情によって金額は変動します。しかし、例えば500万円や1000万円といった法外な金額を請求された場合、その金額に法的な根拠がないことを冷静に主張し、減額交渉を進めていくことになります。
不倫・不貞行為の慰謝料請求において、相手方の精神的苦痛は計り知れないものですが、だからといって無制限に請求が認められるわけではありません。
特に、最初に提示される請求額は、相手方の感情も相まって相場よりも高く設定されているケースが少なくありません。法外な金額を請求された場合など、個別の事情によっては減額交渉できる見込みは十分にありますので、すぐに諦める必要はありません。
ポイント2:減額につながる事情を主張する
あなたのケースに、以下のような事情があれば、慰謝料の減額が認められやすくなる可能性があります。
- 不倫・不貞行為の期間が短い、回数が少ない
- 不倫関係が始まる前から、相手の夫婦関係がすでに破綻していた
- 相手(あなたの不倫相手)から積極的に誘われた、主導的だった
- 相手夫婦に幼い子どもがいない
これらの事情を客観的な証拠とともに主張することで、交渉を有利に進められる可能性があります。
ポイント3:誠実な謝罪と支払い意思を示す
減額交渉は、単なる法律論のぶつけ合いではありません。相手方の感情面への配慮も非常に重要です。不貞行為によって相手を深く傷つけてしまった事実を真摯に受け止め、誠心誠意謝罪する姿勢を見せることは、交渉の基本です。
その上で、「支払う意思はあるが、請求された満額ではどうしても支払いが難しい」という状況を正直に伝え、現実的に支払い可能な金額や分割払いの提案を行うことで、相手方も態度を軟化させ、話し合いに応じてくれるケースがあります。
高圧的な態度や言い訳に終始することは、相手の感情を逆なでし、交渉をより困難にするだけです。
一人で悩まず弁護士へ相談を|早めの相談が最善の解決に繋がります
不倫や浮気の慰謝料を請求され、不安な日々を過ごされていることと思います。しかし、一人で悩み続けていても、状況は好転しません。むしろ、対応が遅れるほど選択肢が狭まり、不利な状況に追い込まれてしまう可能性があります。
弁護士にご相談いただければ、
- 相手方との交渉窓口をすべて任せられ、精神的な負担から解放される
- 法的な観点から、あなたにとって有利な解決策を見つけられる
- 感情的な対立を避け、冷静かつ論理的な交渉を進められる
- 後々のトラブルを防ぐ、法的に有効な示談書を作成できる
といった多くのメリットがあります。
不貞行為に関する問題は、離婚に伴う慰謝料の問題とも密接に関連する複雑な分野です。
早川法律事務所では、弁護士歴19年以上の代表弁護士が、すべての相談・依頼を直接担当いたします。これまでの豊富な経験に基づき、あなたにとって最善の解決策をご提案します。
千葉県内にお住まいの方であれば、オンラインでのご相談にも対応しております。
慰謝料を請求されてしまったら、どうか一人で抱え込まず、まずは当事務所へご相談ください。早期のご相談が、穏便な解決への一番の近道です。



