交通事故の損害賠償、全体像を3つのフェーズで解説
突然の交通事故に遭われ、お身体の痛みはもちろん、これからの手続きや生活のことを考えると、大きな不安に包まれていることと存じます。加害者側の保険会社とのやり取り、治療費のこと、仕事への影響、そして後遺症が残ってしまったら…。考えなければならないことが山積みで、何から手をつければ良いのか分からなくなってしまうのは当然のことです。
この記事では、そんな混乱の中にいらっしゃるあなたのために、交通事故の発生から損害賠償問題の解決までを、「①事故直後~治療開始」「②治療中」「③症状固定~示談交渉」という3つのフェーズに分けて、今何をすべきかを分かりやすく解説します。
この記事を地図のように使えば、ご自身が今どの段階にいて、次にどんな行動を取るべきか、そして専門家である弁護士がどのようにお力になれるのかが明確になるはずです。
損害賠償には、治療費や車の修理費などの「積極損害」、事故がなければ得られたはずの収入である「消極損害(休業損害や逸失利益)」、そして精神的な苦痛に対する「慰謝料」などがあります。これらの正当な賠償を受け取るための道のりを、一緒に確認していきましょう。
フェーズ1:事故直後~治療開始|まず何をすべきか?
事故直後は、誰でも気が動転してしまうものです。しかし、この最初の段階での行動が、後の損害賠償請求に大きく影響します。まずは落ち着いて、ご自身の安全を確保した上で、最低限必要な対応を取りましょう。
最初にやるべき4つのこと
混乱している中でも、以下の4点は必ず実行してください。これらは、あなた自身の権利を守るための重要な第一歩となります。
- 警察への届出: どんなに小さな事故でも、できる限り警察に届け出てください。保険金の請求では、事故状況の確認書類として「交通事故証明書」の提出を求められることが多いため、手続き上も重要です。
- 相手の連絡先と保険会社の確認: 相手の氏名、住所、連絡先、そして加入している自賠責保険と任意保険の会社名を確認しましょう。任意保険に加入していなければ相手の勤務先を確認してください。
- 事故現場・車両の記録: スマートフォンのカメラで、事故現場の状況(ブレーキ痕、道路状況など)や、双方の車の損傷箇所を多角的に撮影しておきましょう。ドライブレコーダーの映像も重要な証拠になります。
- 医師の診察を受ける: これが最も重要です。事故直後は興奮していて痛みを感じなくても、後から症状が出てくることは少なくありません。「痛みや目立った怪我がないから」と自己判断せず、必ず病院で診察を受けてください。事故と怪我の因果関係を証明するためには、事故後すぐに医師の診断を受けることが不可欠です。
事故後に体調が悪くなった場合には、すぐにお医者さんにかかり、ご自身の症状を伝えて適切な検査を受けることをおすすめいたします。これが、後の後遺障害認定などで不利にならないための重要な備えとなるのです。
この段階での弁護士相談:初期対応を万全にする
「弁護士に相談するのは、もっと話がこじれてからでは?」と思われるかもしれません。しかし、実は事故直後の早い段階でご相談いただくことには、大きなメリットがあります。
例えば、警察による実況見分にどう対応すれば良いか、今後どのような流れで手続きが進むのかといった見通しを立てることができます。何より、専門家が味方についているという事実は、先の見えない不安を和らげる大きな安心材料になるはずです。
この最初の段階でボタンを掛け違えないことが、後のすべてのフェーズを有利に進めるための土台となります。
フェーズ2:治療中|保険会社との交渉と注意点
治療に専念すべきこの時期は、皮肉にも加害者側の保険会社とのやり取りが本格化し、新たなストレスに悩まされる方が少なくありません。特に注意すべきは「治療費の打ち切り」と「過失割合」の問題です。
「治療費打ち切り」を打診された時の正しい対応
治療がある程度の期間に及ぶと、保険会社の担当者から「そろそろ治療を終わりにしませんか?」と、治療費の支払いを打ち切る旨の連絡が入ることがあります。まだ痛みがあり、治療を続けたいのに、このような連絡が来ると不安になりますよね。
しかし、ここで安易に同意してはいけません。保険会社から治療の打ち切りを求められてもすぐに応じる必要はありません。
大切なのは、「治療の必要性を判断するのは、保険会社ではなく、あなたの身体を診ている医師である」という事実です。まずは主治医に、まだ治療が必要かどうか、今後の見通しについて相談してください。そして、医師が治療継続の必要があると判断したなら、その旨を保険会社に伝え、交渉を続けるべきです。もしご自身での交渉が難しいと感じたら、すぐに弁護士にご相談ください。私たちが代理人として、治療の必要性を医学的根拠に基づいて主張し、交渉を行います。詳しい手順については、交通事故の症状固定・治療費打ち切り|弁護士が解説をご覧ください。
過失割合に納得できない…どうすればいい?
保険会社から「今回の事故の過失割合は、あなたにも2割あります」といったような提示を受けることがあります。この過失割合は、最終的に受け取れる賠償金の総額を大きく左右する、非常に重要な要素です。
例えば、損害額が1000万円だったとしても、あなたに2割の過失があるとされれば、受け取れる金額は800万円に減額されてしまいます。保険会社が提示する過失割合は、必ずしも客観的で正しいものとは限りません。
もし提示された過失割合に納得がいかない場合は、ドライブレコーダーの映像や事故現場の写真、警察が作成した実況見分調書などの客観的な証拠に基づいて反論する必要があります。弁護士にご依頼いただければ、これらの証拠を精査し、過去の裁判例と照らし合わせて、あなたにとって最も有利な過失割合になるよう交渉します。また、事故による怪我の治療費だけでなく、休業損害についても適切に請求することが重要です。
フェーズ3:症状固定~示談交渉|適正な賠償金を得るために
治療を続けても、残念ながらこれ以上は回復が見込めない状態になることがあります。この状態を「症状固定」と言います。ここからが、損害賠償請求の最終フェーズです。
後遺症が残ったら「後遺障害等級認定」を申請する
症状固定の時点で痛みやしびれなどの症状が残ってしまった場合、それは「後遺障害」として、別途慰謝料などを請求できる可能性があります。そのためには、「後遺障害等級認定」という専門機関の審査を受ける必要があります。
この等級は最も重い1級から14級まであり、等級が一つ違うだけで賠償額が数百万円、場合によっては数千万円も変わることがあるため、極めて重要です。例えば、むち打ち症(頸椎捻挫等)で後遺障害が認定されるか否かは、賠償額に大きな差を生みます。
万が一、認定された等級に納得がいかない場合は、状況により異議申立てを行うことができます。見通しも含めて、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
賠償額の3つの基準とは?弁護士に頼むと慰謝料が増える理由
後遺障害等級が確定すると、いよいよ保険会社との最終的な示談交渉が始まります。ここで保険会社から提示される賠償額(慰謝料など)に、安易にサインしてはいけません。
実は、交通事故の賠償額を計算する基準は、1つではなく3つ存在します。
- 自賠責基準: 法律で定められた最低限の補償を行う基準。
- 任意保険基準: 各保険会社が独自に設定している内部基準。自賠責基準よりは高いものの、次に述べる裁判基準よりは大幅に低いことがほとんどです。
- 裁判基準(弁護士基準): 過去の裁判例に基づいて定められた基準。3つの基準の中で最も高額になります。
保険会社が最初に提示してくるのは、もちろん低額な「任意保険基準」です。保険会社によっては、より低額な「自賠責基準」を提示してくるところもあります。被害者個人で交渉しても、なかなか「裁判基準」まで増額させることは困難です。しかし、弁護士が代理人として交渉することで、最も高額な「裁判基準」での賠償を主張することが可能になります。これが、弁護士に依頼すると慰謝料が増額される最大の理由なのです。詳しくは、傷害慰謝料の自賠責基準と裁判基準をご覧ください。
弁護士への相談・依頼で失敗しないためのポイント
「弁護士に頼むと、かえってお金がかかるのでは?」という心配をされる方もいらっしゃいます。しかし、多くの場合、その心配は不要です。ここでは、賢く弁護士を活用するためのポイントをお伝えします。
弁護士費用特約を賢く活用しよう
ご自身が加入している自動車保険や火災保険に、「弁護士費用特約」が付いていないか確認してみてください。この特約があれば、多くの場合、上限額(一般的に300万円)まで保険会社が弁護士費用を負担してくれます。
つまり、特約の補償限度額・補償範囲の範囲内であれば、弁護士に相談・依頼しても自己負担が発生しない場合があります。ご自身の保険だけでなく、同居のご家族が加入している保険の特約が使える場合もあります。まずは、ご自身やご家族の保険証券を確認してみてください。特約がない場合の弁護士費用についても、事前に丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。
いつ相談するのがベスト?タイミングと準備
結論から言うと、弁護士への相談は早ければ早いほど良いです。各フェーズで適切なアドバイスを受けることで、不利な状況に陥るのを防ぐことができます。特に、以下のようなタイミングは、すぐに相談を検討すべきサインと言えるでしょう。
- 保険会社から治療費の打ち切りを打診された時
- 後遺症が残り、後遺障害等級認定の申請を考えている時
- 保険会社から提示された過失割合や賠償額に納得できない時
ご相談の際には、交通事故証明書、診断書、保険会社からの書類など、お手元にある関係書類をご準備いただけると、よりスムーズにお話を進めることができます。どの弁護士に相談すべきか迷うかもしれませんが、まずは一歩を踏み出すことが大切です。当事務所では、初回のご相談は1時間まで原則無料(弁護士費用特約を利用する場合を除く)ですので、お気軽にお問い合わせください。
法律相談のご予約は法律相談のご予約(オンライン)に行えます。
まとめ|一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
交通事故の損害賠償請求は、事故直後の対応から治療中の交渉、そして最終的な示談交渉まで、非常に長く複雑な道のりです。心身ともにお辛い状況で、これらすべてに被害者お一人で対応するのは、大変なご負担だと思います。
しかし、各フェーズで適切な対応を知り、法律の専門家である弁護士のサポートを得ることで、あなたの正当な権利を守り、適正な賠償金を受け取ることは十分に可能です。
どうか一人で抱え込まず、まずは私たちにご相談ください。あなたの不安に寄り添い、最善の解決に向けて全力でサポートすることをお約束します。
まずはお気軽にお問い合わせください。

