遺言の作成を信託銀行に依頼しようと考えておられる方もいらっしゃると思います。おそらく,信託銀行を遺言執行者に決めておけば安心と考えておられるからだと思います。
遺言は確かに相続人間の紛争を未然に防止するものではありますが,遺言に納得できない相続人が遺言無効や遺留分を主張して紛争が発生してしまう場合もあります。
そして,相続人間に遺言をめぐって紛争が発生した場合,信託銀行が加盟している信託協会は,遺言執行業務に関与しないことを原則としているとのことです。 つまり,遺言を残す者としては,万が一争いが生じたとしても信託銀行であれば安心と思っていたところ,信託銀行が遺言執行者への就職を辞退したり辞任したりすることがあるのです。
この点,弁護士は紛争のプロですので,紛争を理由として遺言執行者への就職を拒否したり辞任したりすることはありません。 遺言を作成する場合には,遺言執行者を誰にするかも考慮の上,作成されることをお勧めいたします。