以前のコラムで相続における特別受益について触れましたが,今年7月の相続法改正により,多少,変わったことがあります。
特別受益についてもう一度触れますと,特別受益とは,相続人が亡くなった方(被相続人といいます。)から生前贈与を受けていた場合,相続財産を前渡しされているので,遺産分割での持分(相続分といいます。)を減らすということです。
ただし,被相続人が,相続分を減らさなくてもよいとの意思を有していた場合には,相続分は減らされません。このことを,持戻し免除といいます。
従来,被相続人に持戻し免除の意思があったかなかったかが争われることが多かったのですが,今年7月の相続法改正により,婚姻期間が20年以上の夫婦については,一方が他方に対して居住用不動産を生前贈与等した場合には,持戻し免除の意思があったものと推定することになりました。
この改正により,婚姻から20年経った後で,住むためのマンションや一戸建てを妻や夫に贈与している場合には,妻や夫は相続分を減らされない可能性が高くなりました。