交通事故の被害に遭った場合,弁護士に相談しようとする契機の多くは,相手方保険会社からの示談金提示額が妥当かどうかだと思います。
結論から申し上げれば,多くの場合,保険会社の提示額は妥当ではありません。
保険会社は自社の支払額を抑えようとします。ひどい保険会社は自賠責基準での額のみを提示します。任意保険は自賠責保険の上積み保険であるため,自賠責基準で示談できれば自社での支払いをしなくて済ませられるからです。
保険会社との交渉を弁護士に依頼した場合,弁護士は裁判で認められるであろう額を基準としますので,ほとんどの場合,保険会社からの提示額はアップします。
しかし,場合によっては,裁判で認められるであろう額が保険会社からの提示額より下がってしまうことがあります。この原因は複数あります。
一つ目は,以前のブログでも書きましたが,接骨院の扱いです。自賠責では接骨院での診療費も治療費として認めてくれる扱いですが,裁判では,医師の指示がある場合や,症状改善に効果的であったことが立証できた場合でなければ認められません。
二つ目は,過失相殺です。自賠責の場合,こちらの過失が7割未満であれば,自賠責の限度額までは過失相殺されずに支払われますが,裁判の場合には過失相殺されてしまいます。
その他,症状固定時期や労働能力喪失率など,示談交渉の段階では争われなかった点が裁判では争われることも多く,裁判にはリスクがあることも確かです。
示談で終わらせるか裁判に持ち込むかは,以上のような点が複雑に絡み合ってきますので,できれば,まずは弁護士に相談されることをお勧めいたします。