部屋を貸していたらそこに住んでいた人が行方不明になって家賃を滞納した場合,賃貸人としては,早急に部屋を明け渡してもらいたいと思うと思います。
しかし,法律上,部屋を明け渡してもらうためには,住んでいた人に任意で明け渡してもらうか,明渡しの強制執行をするしかありません。 住んでいた人は行方不明になっているのですから,任意で明け渡してもらうことはできませんし,明渡しの強制執行のためには裁判をする必要があり,手間と費用がかかります。
そこで,賃貸借契約上,連帯保証人に契約解除権,明渡しの代理権及び残置動産の処分権を与えることをあらかじめ賃借人に了承させる特約を締結することがあります。 連帯保証人は家賃や明渡しまでの損害金を請求されるわけですから,この特約があれば,損害金の発生を抑えようと連帯保証人が賃借人に代わり契約を解除して明渡しを行うのが通常で,裁判を起こさなくとも早期の明渡しが期待できます。
上記のように,このような特約は賃貸人にとって非常に便利な故,賃借人から,このような特約は無効であると裁判を起こされる場合があります。このような特約は無効とされてしまうのでしょうか。
大阪高裁平成25年10月17日判決は,このような特約について,家賃保証会社ではなく個人の連帯保証人に限っては,連帯保証人にとっても自らの金銭支払義務が過大となるのを防止することができるので,この特約を賃借人が明確に認識して契約を締結すれば,無効とはならないと判断しました。
そして,この判決は最高裁に上告されたようですが,平成27年3月3日に上告が却下ないし不受理とされたようで,有効だという判断は変わりませんでした。

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