前回のコラムの続きです。今回は財産開示手続の改正についてです。
財産開示手続とは,お金を払うべき人(債務者と言います。)を裁判所に出頭させ,その人にどんな財産があるかを陳述してもらう制度です。
強制執行制度は,債務者にどのような財産があるかを知らなければ差し押さえることができない制度になっているため,債務者に自己の財産を申告させる制度として財産開示手続が定められました。
ところが,財産開示手続は,裁判所に出頭した債務者に自分の財産を自己申告させるという,債務者の協力を必要とする制度であるため,裁判所から呼び出しを受けても出頭しない人や,虚偽の陳述をする人が後を絶ちませんでした。なぜなら,不出頭や虚偽陳述に対する制裁は30万円以下の過料という軽いものだったため,30万円で済むなら財産を開示しないほうが得だと考える債務者が多かったからです。
そこで,今回の民事執行法の改正では,不出頭や虚偽陳述に対する制裁を,6か月以下の懲役,または50万円以下の罰金という刑事罰にしました。過料と罰金の違いは,罰金は刑事罰であって,前科となることです。
このように,財産開示手続に協力しない債務者に対する罰則が強化されたことから,今後,財産開示手続が使いやすいものになるかどうかが注目されます。