先日,女性について離婚から6か月間は再婚できないと定めた民法の規定につき,100日を超える部分は違憲であるとの最高裁判決が出ました。
逆に言うと,100日間は女性にだけ再婚禁止期間があっても合憲だということになるのですが,これは,先日のDNA鑑定についてのブログに記載した,父親の推定期間と深い関わりがあります。
民法によれば,離婚成立から300日以内に生まれた子どもは前夫の子どもと推定され,婚姻成立から200日経過後に生まれた子どもは現在の夫の子どもと推定されます。
仮に,離婚と同時に再婚し,再婚から201日目に子どもが生まれた場合,離婚から300日以内でもあるので,子どもの父親は前夫なのか現在の夫なのか混乱が生じます。現在の科学技術をもってすればDNA鑑定も可能ですが,逆に言えば,DNA鑑定をしない限りは父親がどちらか決まりません。DNA鑑定が安くなったとはいえ,それなりの費用はかかりますし,鑑定のための期間も必要です。 最高裁は,このような混乱を望ましいものではないと考え,100日間は再婚禁止期間があっても合憲だと判断したものと思われます。
100日間の再婚禁止期間があれば,仮に再婚から201日目に子どもが生まれたとしても,離婚からは合計301日が経っているので,もはや前夫の子どもとは推定されず,混乱は生じません。200日目に生まれたとしても,まだギリギリ婚姻から200日が過ぎていませんので,現在の夫の子どもとは推定されず,混乱は生じません。
なお,あまり知られていませんが,離婚前から妊娠していた女性が離婚後に出産した場合,出産した日から再婚が可能になります(民法733条2項)。つまり,離婚成立の翌日に出産した場合には,その日から再婚が可能です。再婚した後に妊娠が判明した場合,通常であれば前夫との婚姻中の妊娠である可能性もゼロではありませんが,離婚成立後に出産した場合,出産後の妊娠は必ず離婚成立後の妊娠になりますから,混乱が生じないという理由です。