皆様は、家族信託というものをご存じでしょうか?信託と言えば、信託銀行を思い浮かべますが、信託は、業として行うのでなければ個人でも可能です。
そもそも、信託とは、字のとおり、財産を信じて託すということです。財産を家族に託すため、家族信託と言います。
なぜ、財産を他人に託す必要があるかというと、投資信託などは利益を得るためですが、家族信託の場合は、認知症などで自分では管理ができなくなってしまう場合に備えるためや、自分の死後に備えるためです。
例えば、障害を持つ息子がおり、自分の死後の生活が心配な場合、財産を託せる娘などの家族がいれば、娘に現金を家族信託して息子に毎月金銭を渡してもらうことも可能です。
この場合、遺言で息子に現金を取得させることも可能ですが、現金は一括で息子に渡すことになるので、息子が全部使ってしまう危険性があります。息子に判断能力がなければ後見の申立てをすることによって後見人に現金を管理させることが可能ですが、後見を裁判所に申し立てる手間もかかりますし、息子に判断能力がある場合には後見制度は使えません。
家族信託を利用する場合、娘との信託契約で毎月いくらいくらを息子に分割給付すると定めておけば、息子は定められた金額しか毎月受け取れないことになりますので、残した現金すべてを使われてしまう危険はなくなります。
家族信託を行うためには、信託契約を交わす必要があります。どのような契約内容にするかは、どのような目的で信託をするかによりますので、契約は事案や目的に応じたカスタムメイドとなります。契約内容は法律を駆使したものになりますので、司法試験を通っていない司法書士ではなく、弁護士に相談されることを強くお勧めいたします。