遺言

1 遺言とは?

遺言は、人の最終的な意思を表示したものです。それゆえ、遺言は最大限に尊重され、法的にも保護されます。

遺言がある場合、原則として遺言に従って遺産分割が行われますし、特に、遺言執行者を定めていた場合には、遺産分割の処理は遺言執行者のみによって行われ、遺言執行者以外の者は遺産を管理することも処分することもできません。 遺言執行者以外の者によって遺産が処分されたとしても無効となります。

したがいまして、遺言を作成し、信頼できる遺言執行者を定めておけば、相続についてのご意向を遺言執行者が遺言に従って実現してくれますし、相続人以外の者を遺言執行者にしておけば、遺言執行者は遺言に従った処理をいたしますので、相続人間の争いを防止することができます。

「相続は争族」という言葉は、相続に関わる者が日々痛感しているところです。 遺言を作成して遺言執行者を定めておくことは、財産を残す者の責任と言っても過言ではないかも知れません。

2 遺言の種類

遺言は、法律に定められた方式に従わなければ、せっかく作成しても無効となってしまいます。

遺言の方式には、死期が迫っていて普通の遺言を作成している時間がない場合などの「特別方式」と、それ以外の通常の場合の「普通方式」があります。 そして、「普通方式」には、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」及び「秘密証書遺言」の三種類があります。

「自筆証書遺言」は、一番手軽な遺言です。遺言内容の全文と日付と氏名を自筆で紙に書き、印を押せば,方式を満たします。 ただし、手軽な分だけ、偽造や変造などの争いになることも多く、無効となることも多いです。 また、自筆証書遺言では預貯金の名義変更に応じてくれない銀行もあります。 したがいまして、自筆証書遺言はあまりおすすめできません。

「公正証書遺言」は、公証人という公務員が作成する遺言です。 公正証書遺言の原本は公証役場で保管されますので、偽造、変造、紛失などのおそれはありません。 また、公証人という公務員が作成いたしますので、方式を満たさないために無効となる心配もありません。 銀行も、公正証書遺言であれば預貯金の名義変更に応じます。

したがいまして、遺言を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。 公正証書遺言の作成には2名以上の証人の立ち会いが必要ですが、当事務所にご依頼いただければ、公正証書遺言の原案を弁護士が作成し、公証役場と連絡を取り合った上で,守秘義務のある当事務所の者が証人となりますので,ご安心ください。

「秘密証書遺言」は、遺言の内容を秘密にしたい場合に作成する遺言です。 遺言が記載された書面に署名捺印し、その書面を封筒に入れ、書面に捺印した印と同じ印で封印します。 そして、封筒を公証役場に持参して、公証人及び証人の立ち会いの下で手続をします。 遺言を公証人が保管するわけではないので、遺言の紛失のおそれがあります。 遺言の内容を誰にも秘密にしたいというご事情がない限り、公正証書遺言の作成をおすすめいたします。

いずれの方式にしても、遺言の内容は、ご自身で考える必要があります。 公正証書遺言は公証人が作成するといっても、公証人は方式を整えるだけであり、遺言の内容を作成してくれるわけではありません。 そして、遺言の内容が曖昧だと、せっかく遺言を作成しても、法律上の効力が発生しない場合もあります。

遺言を作成するにあたっては、どの方式を選択するにしても,法律の専門家である弁護士にご相談されることをおすすめいたします。当事務所は、千葉県千葉市で主に千葉県全域の相続事件を多く扱って参りましたので、安心してお任せください。ご相談料や弁護士費用はこちらのページをご覧下さい。

3 遺言執行者のすすめ

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者です。

例えば、遺言に、「Aに自宅建物を相続させ、Bにダイヤモンドを相続させる」と記載されていた場合、遺言があるにも関わらずBが建物の登記をしてしまっていることや、Aがダイヤモンドを手放さないこともあるかもしれません。

このような場合、遺言執行者が定められていなければ、A自身がBに対して登記抹消等の訴訟を提起する必要や、B自身がAに対してダイヤモンド引渡しの訴訟を提起する必要があります。

しかし、遺言執行者が定められていれば、遺言執行者が、AやBに対して訴訟を提起して、Aに建物の登記を得させますし、Bにダイヤモンドを引き渡します。

遺言を残したとしても、遺言執行者を定めていなかった場合、他の相続人が協力しないときには、相続人同士で争いが生じます。 相続人の1人を遺言執行者と定めた場合でも、相続人同士が争うことに変りはありません。

弁護士を遺言執行者と定めていれば、遺言執行者である弁護士が全ての手続を行いますので、相続人同士が争うこととはならない上、訴訟提起などの法的手続が必要になった場合でもスムーズに遺言執行者としての職務を果たすことができます。

当事務所に遺言作成をご依頼いただければ、遺言書作成はもちろんのこと、遺言執行者としての職務執行までお受けいたしますので、安心してお任せください。

4 遺留分について

上で、遺言がある場合には原則として遺言に従った遺産分割が行われると書きましたが、「原則として」と書いたのは、遺留分という例外があるからです。

遺留分とは、遺言によっても侵すことができない相続人の持分です。全財産を相続人の1人に相続させる遺言があったとしても、他の相続人は自己の遺留分を主張できますので、遺留分を主張する者があった場合、遺言によっても全財産を相続することはできないということになります。

したがいまして、遺言を作成する際には遺留分にも十分に配慮して作成されることをおすすめいたします。

なお、遺留分の算定方法は複雑ですので、詳しくは弁護士にご相談ください。

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