親権についての異例の判決

千葉家裁松戸支部で親権についての異例の判決が出ました。離婚後の子どもとの面会交流の頻度を重視して父親に親権を認めたというものです。

事案は,夫と5年以上別居して8歳の女の子を育てていた妻が,夫に対して離婚と親権等を求めたもので,夫も子どもの親権を求めていました。

通常であれば,母親が8歳の子どもを5年以上も養育していれば,子どもの環境を変えない意味でも,母親に親権が認められることがほとんどだと思われます。 ところが,千葉家裁松戸支部は,お互いが相手に認める子どもとの面会交流の頻度を重視して,父親を親権者としました。

本件では,母親は,父親と子どもとの面会交流を月1回程度認めると主張したようですが,父親は,母親と子どもとの面会交流を年100回程度認めると主張したようです。 判決はこれを重視し,「両親の愛情を受けて健全に成長するのを可能にするために父親を親権者とするのが相当」と判断したそうです。

確かに,両親が離婚しても子どもとの親子関係はなくならないのですから,子どもの健全な成長のためには,面会交流の回数は多いほうが望ましいとは言えます。 しかし,離婚後に現実に面会交流を実施しようとした場合,子どもが1人で行動できるほど大きいならともかく,3~4日に1度程度の面会交流はあまりに親の負担が大きいため,月1~2回程度とするのが今までの判例であり,本件の母親の主張は極めて普通の主張です。

母親側はおそらく控訴するとは思いますが,東京高裁での判決が注目されます。

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