親権についての異例の判決の続報

以前のブログで,離婚後の子どもとの面会交流の頻度を重視して父親に親権を認めたという異例の判決についてご紹介しましたが,昨日,東京高裁で注目の控訴審判決が出ました。

結論としては,母親側の逆転勝訴となりました。

以前のブログで当職が批判していたとおり,面会交流の頻度のみで養育環境を変えるというのはやり過ぎです。東京高裁は,親権者を決める際の基準について,「これまでの養育状況や子の現状や意思を総合的に考慮すべきだ」と指摘し,「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきではなく,他の事情より重要だとも言えない」と判示しました。また,面会交流を「年100日」とする父親の提案では「長女の体への負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」と指摘し,「月1回程度」という母親の提案は「不十分ではない」と判示しました。そして,長女の現在の養育環境に問題はなく,引っ越しや転校をして環境を変える必要性もないことから,「長女の利益を最も優先して考えれば,母親を親権者とすべきだ」と結論づけました。非常に妥当な判決で安心しました。

もちろん,この判決を以てしても,親権決定の際には面会交流も重要な判断要素となりますので,面会交流については,子どもの福祉を最大限に考慮して決定することが必要です。

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